削除された双眼鏡レビューの話

情報総合

気が向いたら書こうと思っていたお話。
Amazonで書いたレビューが削除され、再投稿するもまた削除され、相当削ってとりあえず形だけ残っているのがRuxis双眼鏡のレビューです。
まぁ、多少話が脱線していたので削除されても仕方ないかなとは思いますが、販売者の手助けになるような結果になったのが、何とも腹立たしい(#^ω^)
公開から2,3時間で削除されたレビューで私の指摘した穴が、修正されたんですよねぇ…。(一部譃が塗り重ねられた部分もありますが)
突っ込まれて直すなら、最初から本当のことを書いてどうぞという話ですよ、ホント。

昼過ぎに公開されたと思ったら、夕方には削除されちまって、ちっきしょー!(小梅太夫感)

削除されたレビュー本文

タイトル:控えめに言って詐欺
光学製品は趣味の範囲なもので、それなりに書きますが、初めに要約しておきます。
・商品説明は嘘八百です。
・「本気で開発」云々は詭弁で、中国メーカーによる設計です。
・中国メーカーのスペック表を流用しているため、カタログスペックに誤りが複数あります。
・レンズコーティングはフルマルチコートされていませんでした。
・そのため、光透過率99.5%はあり得ません。

双眼鏡や望遠鏡など光学製品全般は、消費者側にとって分かりづらいことが多い世界です。
そのため、騙し騙されやすい業界です。
変な双眼鏡を高値で掴まされる人が、少しでも減れば良いのですけどねぇ…。

この商品は利率を考慮しても、せいぜい高く見積もっても2000円程度が妥当な設定でしょう。
レビュー時点の価格(3980円)はぼったくり以外の何物でもありません。
同じお金でもっと良いものが買えます。
この商品を選ぶのは、全くおすすめしません。

以下、詳述していきます。

この商品の説明を読んだとき、真っ先に目に入るのは「眼科医×東大卒の工学博士が開発」という謳い文句でしょう。
商品画像を見れば「専門工場の職人たちと協力し、何度も試作を繰り返しました」などと書いてあります。
しかしこれらは詭弁です。

本商品は、中国設計・中国製造の安価なODM製品です。
「DESIGNED IN JAPAN」や「安心の国内ブランド」とありますが、これは消費者の優良誤認を狙った魔法の言葉にすぎません。
中国企業の既製品にオリジナルのブランド名を印字してもらうだけで「企画・開発」したことにできますからね。(付属品も少し変えていますね)

カタログスペックについて、対物レンズ有効径や明るさなどに齟齬があります。
仮に、本当に「試作を繰り返し」て「開発」したのであれば、この齟齬は生まれないでしょう。
ODM元が出している数字をそのまま写しているために生じる誤記です。

元の商品は、アリババを介して製造元から購入しても38元、700円余りです。
輸入費用はかかりますが、個人でも、誰でもその程度の価格で購入できます。
このレビューを読んでいるそこのあなたも、广州市仕天光学设备有限公司や广州市博兰克进出口贸易公司に依頼すれば、自分の好きなブランドを印字してくれますよ(゚∀゚)

実際、この商品も"Ruxis"というブランドを前面に出すなどして誤魔化していますが、個人売買でしょう。
商品元箱に「弊社」の語がありましたが、会社組織は存在しません。
「松井和洋」という個人が売っているだけです。

とは言っても、個人輸入の販売であってもそれが良い商品ならば何の問題もありません。
(「日本企業が企画・開発」などという読み手の誤認を招く表記等は大きな問題ですが)
この商品の問題は、その中身です。

商品説明では対物レンズや瞳径について、10×22や「対物レンズ有効径:22mm」、「ひとみ径:2.2mm」とあります。
また、明るさについては「明るさ:4.4」とあります。
これらは矛盾した数字です。

明るさの数値は、瞳径を2乗して算出します。
しかし、2.2^2は4.84となり、明るさは"4.8"であるはずです。
それが、どうして"4.4"なのでしょうか。

明るさが"4.4"ということは、対物レンズの有効径は"21mm"であるはずです。
どちらが正しいのでしょうか。
測ってみると、確かに有効径は"21mm"でした。

光学製品は、1mmの差で大きな影響が生じます。
たかが1mmでも、この数値帯であれば対物レンズは大きい方が優れていると言って差し支えありません。
そのため、「有効径」を"22mm"と表記することは不当表示です。

まぁ、この不当表示はかわいいものです。
最大の問題点は、レンズコーティングについてでしょう。
「フルマルチコート」というのは、完全に嘘でした。
対物レンズと接眼レンズにしか、コーティングが施されていません。

「フルマルチコート」という言葉は、使われているレンズ・プリズムの全面にコーティングを施している場合に用いるものです。
その他の場合、例えば使っているレンズ1枚のみにコーティングしている場合は、シングルコートやマルチコートとなります。
この場合のシングルコートは単層コート、マルチコートは多層コートのことで、何枚のレンズにコーティングを施しているかは関係ありません。
1枚のレンズに、何層のコーティングをしているのか、ということです。

何枚のレンズにコーティングを施しているのかを指すのは、接頭部です。
「フル」という接頭語を付ける場合は、その双眼鏡の全てのレンズにコーティングを施しているという意味になります。
つまり、「フルマルチコート」という場合には、使われている「レンズ(プリズム)全てに多層コート」ということです。

それが、この双眼鏡はどうでしょう。
全然コーティングされていません。
少なくとも、内部で4面分はノンコートと見えます。
(コーティングとは無関係ですが、内部レンズは指紋油脂汚れが付着していました)

この時点で「99.5%透光率」というのは嘘になります。
恐らく、この透光率は対物レンズのみの話なのでしょう。
対物レンズは、プラスチックではなくガラスレンズでコーティングもまともでした。

しかし、対物レンズだけがまともでも、詮ないことです。
中身にノンコート面が複数ある時点で、数パーセント単位で透光率は落ちますからね。
画像を見ていただければ分かるように、反射というのはすごいものです。
この反射のせいで、見える像はグンと暗くなります。

この商品は、いろいろとおかしいことばかりです。
開発者兼販売者の「松井和洋先生」は「開発歴11年」ということですが、一体何の開発歴なのでしょうか。
彼の研究経歴を見るに、光学は専門外と見えますが、まさか超音波の研究を放擲して双眼鏡を開発していたわけもないでしょう。
経歴にある「フランス国立保健衛生研究所」なる機関も実在しません。(Insermのことなんですかねぇ)
また「技術特許多数」とありますが、彼の名前では共同特許2件しか見当たりませんでした。
その数少ない特許すらも、みなし取り下げによる無効なものです。

このように、商品説明の信頼性は皆無ですから、商品ページに書いてあることを信じて購入するのは禁忌です。
見るべきは、双眼鏡それ自体。

そして見てみれば、対物レンズマルチコート、接眼レンズマルチコート(色味から判断するに層数は少ないでしょう)の安価に転がっている仕様。
ブランド印字を気にしなければ1000円台で買える代物。
これを嘘八百の商品紹介に踊らされて高値で買っても良いのか、もしこのレビューを読んでいる人がいるならば一考してほしいと思います。

一応、同等品はAmazon内で「双眼鏡 10×22」と検索すれば何件も出てきます。
FBA(出荷元がAmazon)のものを選べば、不良品でもAmazon仲介で保証がありますから、何ら支障もないでしょう。
付属品に「巾着袋プレゼント」の紙を入れ、そこから個人情報を収集しようとしている本商品の直接保証よりも、よほど信頼できます。

この商品(とその同等品)を1000円台で買うのは、それほど悪い選択肢とは思いません。
仕様上、明るさ4.4かつレンズのコーティングが悪いので、像はありていに言って暗いです、
しかし、歪曲収差は割と抑えられているので、見え方はそこまで悪くないというのが感想です。

とは言っても、これはあくまで安ければの話。
2000円以上出すのであれば、他の双眼鏡を探された方が良いでしょう。(対物レンズ径25mm以上はあった方が良いでしょうね)
少なくとも、騙されて購入すべきではありません。

最近は「日本企業」「日本開発」と言い、中国のODM製品を輸入するせどり(転売)ビジネスが流行っています。
そういう情報商材が出回っていたり、二番煎じが出てきたりしているわけですね。(汚い世界><)
("Ruxis"の次は"Suyamee"が商標登録されているので、双眼鏡の次はアイマスクが販売されるのでしょう。今度は誰と共同開発なのでしょうかね)
この商品も、見るからにその一環です。

初めにも書きましたが、光学製品は騙し騙されやすい業界です。
特に消費者を引っかけやすいのでしょう。
騙されないように、お気を付けください。

(2024/03/10投稿)

この商品の何が問題なのか ―倍率詐欺はやっていない中で―

まぁ、何と言っても噓八百(まがい)を並べているところでしょう。
他の双眼鏡は倍率詐欺が多いぞ、うちはやっていないぞ、安心してね♡というようなことを書いていますが、他の点で無茶苦茶書いていますからね。

ただまぁ、倍率詐欺はやっていませんでした。
双眼鏡界隈・単眼鏡界隈は、倍率詐欺が非常に多くあります。
特に中国製の酷い単眼鏡では、「40倍」の説明に実際は7倍未満というトンデモ商品が…。(600円で買ったのですが、それでもイランというレベルでした)

双眼鏡等における倍率の概念は、知らなければ評価のしようがありませんから、消費者をとても騙しやすい要素です。
できれば1つは比較材料として、まともなメーカーの製品を手元に置いておくのが理想ですが、一般ユーザーからすれば何個も要りませんからねぇ、難しいところです。

さて、話を戻して、問題点について考えましょう。

まるで日本

もうね、熟練の職人が日本の頂点をうんたらかんたら書いてしまって、あたかも日本製…と言わずとも日本で設計しているかのような感じなんですよね。
日本企画だの日本開発だの言う謳い文句もまた同様です。
消されたレビューでも少しふれたように、このやり口は最近の中国輸入転売では定番の方法になっています。
本当に汚いやり方だなぁと、個人的には思えてなりません。

「日々和工業」などと掲げ、まるで会社として存在するかのよう…(´・ω・`)そんな会社ないのにね1
そして、工場工員の集合写真がAmazon商品ページで掲載されていますが、全く関係ありません。

3ed10f2d-ae3e-4066-97b3-5f3074861b50.__CR0,0,362,453_PT0_SX362_V1___.jpeg (362×453) (media-amazon.com)(2024/04/27時点掲載継続)

写真素材として、iStockで誰でも購入することができます。
大体、この写真は日本の工場で日本人のモデルが撮影されていますからねぇ。
中国企業の中国工場で生産しているこの商品とは、関わりあるはずがありません。

耳障りの良い言葉をつらつらと並べていますが、十中八九中国ODMです。
万に一つそうでなければ、コピー商品ですね。
ずっと以前から酷似製品が中国で生産販売されていますからね。

製品スペックの嘘

製品スペックの嘘、これはもうどうしようもないところです。
フルマルチコートについては、レビューで書いた通り。
全然「フル」ではありませんでした。

対物レンズ径と明るさについては、私のレビューを見て修正されました。
より良い値へと修正されましたが、虚偽表記です。
対物レンズ有効径の実測結果は21㎜でしたからねぇ…。

開発者様の経歴の嘘

開発者様、東大のご出身ですごいですね(^^)
「国内技術特許取得実績多数」なんですってね、すごーい。
J-Platpatで調べたら、却下された特許がたったの2件。
特許取得実績多数って一体なんだったんですかねぇ(´・ω・`)
なお、私のレビュー後、取得実績多数は「出願実績多数」へと修正されました。

出願なんて誰でもできるがな(゚Д゚)

挙句、新製品の”Suyamee”では経歴欄が「出願実績有り」になっています。
段々グレードダウンしますねぇ。
国際技術特許も、USPTOでアメリカの分だけ調べましたが、数件のみ。

引用元:USPTOデータベース 【https://www.uspto.gov/】(2024/04/27閲覧)

どこが多数なのかと思ってSuyameeの方を見ると、こちらも有りへとグレードダウン。
自覚があるなら、最初から誇張せずに書けば良いのに、一体なんなんでしょうね(#^ω^)

そういえば、3月に書いた件のレビューでSuyameeがそのうち販売開始するだろうと書いていましたが、予想通りでしたね。
共同開発も全部予想通りだったなぁ…(笑)

加えて「フランス国立保健衛生研究所」なる謎機関はなんなんでしょうか。
Insermのことなら、”médicale”が含まれる以上、どう訳しても医療・医学が抜けることはないと思うので別機関と思いますが、はたしてそんな機関は存在するのでしょうか(´・ω・`)聞いたことないね

真っ当な売り方をしてほしい

正直、内実に対してぼったくりだと思わざるを得ないので、私は絶対に買いません。
商品説明嘘八百ということで、返品・返金です。
スペック同様品がAmazonを介しても1500円程度で買えることを考えれば、購入する理由が到底思いつきません。

まぁ、独自ブランド名で高く売るのは個人の自由です。
別に咎められることはないでしょう。

しかし、真っ当な売り方をしてほしいものです。
一般消費者を引っかけるような表現も、虚偽のカタログスペックも、慎むべきです。

「日本企画」「日本開発」等の悪質販売手法は、他の分野でも大量にあります。
法律で規制されれば良いのですが、まぁされないでしょう。
一体、彼らは良心をどこに置いてきたんだろうね(´・ω・`)悲しみ

備考

Amazonや楽天は引用を基本的に認めないスタンスのようです。
本来、日本国内では著作権法の第32条によって著作物の引用が保証されているので、適宜引用しても問題ないはずです。
しかし、少々批判的内容が多くあるので、突っ込みどころを減らすために画像の引用を避けました。
厭なことに、詐欺を詐欺と指摘して名誉棄損と訴えられるのが日本の現状ですからねぇ…。

  1. 本記事執筆時点(2024/04/27時点)では存在しなかったが、後に法人登記がなされた。
    「日々和工業株式会社」の法人登記は、同年5月13日。
    登録地域を見るに、個人宅を登録しているようだが、一応法人としての存在が現在では確認できる。(2024/05/25追記) ↩︎

コメント

  1. ひよこ より:

    リクエストにお応えいただきありがとうございます!
    残念ながら日々和工業の中の人ではなく、アンチ日々和工業の人です(笑)

    すごく参考になる的確なレビューだと思います。
    これを削除されるのは悔しいですよね。。
    Amazonレビューは名前や電話番号などの個人情報がNGなので、恐らく
    >>「松井和洋」という個人が売っているだけです。
    や、
    >>松井和洋先生
    などが引っ掛かったのですかね^^;
    画像には恥ずかしげもなく堂々と自分の名前を載せているのに。。
    それと「詐欺」などもNGになる場合があるようです。(実際に詐欺ですが。。)

    それっぽい言葉を片っ端から並べていて、まさに優良誤認を狙った極めて悪質な販売者だと思います。
    他レビューを見ると実際に「日本製」と勘違いしている人も多いのも、見ていて悲しい気持ちになります。

    Suyameeのアイマスクは、脳神経内科医様と共同開発されていますね(笑)
    https://item.rakuten.co.jp/hibiwa/suyamee-000/
    数日間ページを追っていましたが、売り切れのままレビューが5件ついて全て星5評価とここも不自然なので闇がありそうです。

    • 湿気 より:

      ひよこさん、読んでいただきありがとうございます。
      アンチ日々和工業ですかw(´w`)w

      まぁまぁ、消されて妥当だったのかなとは思っています。
      「詐欺」という語は、ついタイトルに使ってしまいましたが、かなりシビアなワードですしね。
      法的にも立証の難しい罪で、中々摘発できないという(;´ω`)

      個人情報NG、鍵括弧でくくって商品説明からの引用感を出したけどやっぱり引っ掛かっていたんですかね><
      ちなみに、初発レビューの削除理由は「複数言語使用不可」でした(゚Д゚)
      中国の会社名を簡体字で書いたのがNGだったようです…。
      その次は「画像不可」ということで、現在の1枚投稿になりましたOTL

      >>「それっぽい言葉を片っ端から並べていて、まさに優良誤認を狙った極めて悪質な販売者だと思います」
      これは、全く同感ですよ本当に…。
      しかしまぁ、流行かのように、同じような手口が大量に出回っていますからね(´・ω・`)どのジャンルの商品を見てもウジャウジャと
      『日本のもの』という思い込みは、私も見ていて得も言われぬ気分です。
      もう少し、ネットリテラシーを多くの人に持ってほしいですね>_<

      suyameeはちゃんと調べていないのですが、もし楽天の現状価格(ブラックの1000円)で買えるならかなり良心的だなぁと思っています(明らかに利益率が悪すぎるので確実に上がるでしょうが笑)
      在庫のないままレビューが増えるのは、やっぱりレビューを買っているんですかねぇ。
      そういうコミュニティの存在は知っているのですが、まだ潜入したことがないので詳細が分かりません。
      そのうち潜入してみようかなぁ(゚∀゚)

      • ひよこ より:

        湿気さんのレビュー、また削除されていませんか?
        私のレビューも削除されました。
        商品レビュー削除された経験があんまりないのですが、出品者は不都合なレビューを削除する方法を知っているのでしょうかね。。

        • 湿気 より:

          ひよこさん、コメントありがとうございます。

          また削除されてしまいましたねぇ…。
          ひよこさんのレビューも消されてしまいましたかorz
          もう生き残っているのは、数行の短文レビューだけですね(´・ω・`)

          なお、今回の削除理由は
          「レビューの内容に不適切な表現や他のお客様を不快にさせる言葉などが含まれていたものについては、サイト上への掲載を控えさせていただく場合がございます。」
          とのことです。
          Amazon側は、何でも理由を取ってつけられますから、実際のところは分かりませんケド。

          レビュー投稿の際も、AIチェックだけでなく人間が(特に私のような削除→再投稿のレビューは確実に人が)チェックしているので、これだけ再三削除されるのは明らかにおかしな話です。
          ただの邪推ですが、Amazonコミュニティ側に、この手法を流布している陣営の協力者が居るのではないでしょうかね。
          (陰謀論者みたいな感じですが(笑))

          ホント、厭な界隈です!

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