私は数年前、燐寸収集をしていました。
2020年9月に書いた、消えた旧ブログの文章が残っていたので読み返してみましょう。
情報が古いので、内容は正直現状に則していませんががが。
![](https://sikkenozakki.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_1925-1.jpg)
さて、今日は燐寸の事を書くことにしよう。 燐寸とは? 知らない人はいないであろう燐寸。言わずもがな、火をおこすための道具です。 燐寸とは?というと、火をおこすものだ。という一言で完結してしまいます。 ところで、最近は使用機会も減ってきていて、若い人なら使ったことがないという人もいるかもしれないですね。 燐寸の歴史 一般社団法人日本燐寸工業会のホームページで燐寸の歴史のコーナーがあります。(https://match.or.jp/museum/history/) 上のサイトで結構に詳しく書かれています。(完全ではありませんが) 燐寸の種類 黄燐燐寸とか硫化燐燐寸とか、赤燐燐寸とかの種類ではなく、箱の形や大きさの種類について書きます。 現在売られているものの多くは並型と家庭小型です。 JISでは並型はサイズが大体56×36×17㎜で最低入り本数37本以上、家庭小型はサイズが大体110×90×51㎜で最低入り本数750本以上とされています。 広告燐寸では平型が良く使われています。 これは並型の高さだけを7㎜程度低くしたもので、最低入り本数17本以上です。 他にも寸二型とか三倍型とかブック型とか色々あります。 燐寸のJIS 他の色々な製品と同じく燐寸にもJIS規格があります。(S4001) 新JISに移行する以前(2009年頃まで)は殆どのメーカーがJISに則り、マークも表記していました。 然し、移行してからはそれに準拠しないメーカーが出現。 現在でもJISを表示しているメーカーは中外燐寸、大和産業、日東社(時計印や大丸印のみで兼松やダイドーから引き継いだものは表記なし)ぐらいでしょうか。 神戸燐寸は2017年か18年か頃にJIS表記を撤廃してしまいました。 なんちゃら燐寸工業(批判的な事を書くので一応会社名をぼかす←いや、余りぼかせてない)というメーカーはJISに則っていないのにも拘らず未だに商品画像として旧JISを表示していた頃のものを使用しているという… 個人的に最悪な企業だと思います。景品表示法に抵触しないのかな… 実際にこのメーカーの燐寸で並型を買っても35本しか入っていないという事がありましたからね。完全にJISを逸脱しています。 過去に問い合わせた時も電話対応が酷かった。 非通知設定で電話をしたら「非通知での問い合わせになぜ答えないといけない」という信じられない返事…(いやいや初めから非通知をとらない設定にすればいいのに…) 正直、コレクションする中でもここのメーカーのものはあまり買いたくないですね。(結局買うけど) まあ、とりあえず燐寸を買うときはJISの表示があるものを選ぶ方が確実です。 現存する燐寸の特色(メーカー別) やっぱり製造元によって個性があります。 いくつかのメーカーを挙げてみます。 日東社 恐らく業界シェアNo.1だと思います。 ブランドは創業時からの大丸印が独自のもので、これは頭薬(燐寸棒の先端に付いている着火剤)の色が緑色です。大丸印燐寸の特徴ですね。 他には時計印、兼松日産農林(兼松サステック)から引き継いだ桃印や燕印、象印や馬頭印など、ダイドーから引き継いだパイプシリーズや旭馬など、数多くのものを扱っています。 更に当矢燐寸名義のアタリヤマッチやアカダママッチ、八家化学工業名義のマルニホンなども日東社製です。 軸木は白いものが多く(曖昧ですが南米産だった気がする)、頭薬の付きも良いものが多い印象です。 JIS表記がなくとも、不良軸率も低く、並型では基本的に40本程度入っていて全体的に好印象なメーカーです。 大和産業 ブランドは金鶴印や鶴丸印、うきわかもめ、花車印などがあります。 軸木はスウェーデン産と中国産の混合で、茶色い節なども混じっています。(節は硬いので折れ難いです) 頭薬は他社よりも多めに付いている印象があります。 それに伴って、双子(頭薬が二本一緒にくっついているもの)の混入率が他社よりも少々高い気がします。 JISに則っていて、入り本数も多めで、且つ頭薬が多くついているので個人的にお得感があります。 中外燐寸 ブランドはたいこしし、やわらぎみつだいこ、123印、999(スリーナイン)、燐寸会社としては珍しく岡山の会社なのでそれに因んで桃太郎印というのもあります。 他には静岡燐寸から引き継いだ鎖虎など。また、株式会社東亜の名義で販売されているリボン印も中外燐寸製です。 軸木は中国産で、全体的に茶色い節のあるものが多い印象です。 頭薬は他社と比べて少なめで、過少頭(頭薬が少なすぎるもの)の混入率も少々高い気がします。 JISに則っていて、入り本数は頭薬が少ない分しっかりと入っています。 また、障がい者雇用を前面に押し出していて、工場で障がい者を雇っていることを表記していることは大きな特徴です。 神戸燐寸 ブランドはハープ燕、日の丸扇、888(パパヤ)印など。 軸木は全体的に白いものが多く、頭薬の付きは適量で、不良軸も少なく高品質なイメージでした。 なぜ過去形か? 私の記憶が間違っていなければ、2,3年前に日東社に製造を委託し始めたのです。 ザ・メイキングでも工場を公開していたくらいなのですが…残念です。 燐寸業界は… 年々燐寸の出荷量は減少しています。 火を携帯する必要性も殆どないのが現状ですし、それが一変するようなことも起こりそうにありません。 ですからこの業界が発展するような事は多分ないでしょう。 いわば斜陽産業ですね。 それでもまだ暫くは一定の需要が絶えることはないでしょうから、燐寸を見かけることがなくなる心配をするのは早いですね。 何故燐寸を使うのか? 現在では火を使う場合(ガスコンロは除きます)ライターを使う人が多いと思います。 仏壇やお墓参りで線香や蝋燭に火をつける際もチャッカマン®などの扱いやすい安全性の高いものがあります。 それでも燐寸を使う理由は何か? 一番に挙げられる理由はやはり環境配慮だと思います。 燐寸の材料は木材、塩素酸カリウム、赤燐などです。 それに対してライターなどは、金属やプラスチック、石油液化ガスなどから作られています。 燐寸は土に還りますが、ライターは基本的に土に還りません。 ですから、やっぱり私は燐寸を勧めたいですね。 終わりに 一応私は燐寸コレクターの端くれです。 コレクションを始めたのがここ数年以内なので、持っている種類も少ないですから正直コレクターを名乗っていいのかも微妙ですが。 あと、最近は燐寸を見る時間が減っているので、産地とか製造元とかが変わっていて上で書いたことが間違いになっているかもしれません… まあとりあえず、これからもたまに燐寸紹介の記事を書いていきたいなーと思っていたりします。 今日は此処迄。
読み返してみて
「こんなこと書いてたんやなァ…」というのが第一印象です(笑)
これを書いたのが高校時代と考えると、なんとも(´・ω・`)
「なんちゃら燐寸工業」の姿を見る機会も、随分と減りましたねぇ。
もともと売っていたスーパーも、今では他社製品になっているというのが多々見られます。
数年で、大分変ったものです。
現在は
正直、最近はめっきり燐寸に触れることも減ってしまい、現状を全然知りません。
ただ、この数日でまた少し燐寸を購入し、変化をひしひしと感じています。
最たる変化は、燐寸それ自体というよりかは、価格面。
約1.5倍から2倍程度になりました。
安いところでは1ダース160円から200円程度だったのが、今では300円前後が相場という感じです。
何でもかんでも物価高騰の影響を受けていますが、2倍かぁ…orz
さて、中身についてはどうでしょうか。
日東社
変化をひしひしと感じていると言いながら、日東社はあまり変わっていないような気もします。
いや、事業面では大きな変革があったようで、昨年(2023)には紙関連事業を譲渡1したようです。
今も手元に日東社のNマスクが残っていますが、これももうなくなったんですね(´・ω・`)カナシイネ
私の上の文(4年前)で出てきた大丸印燐寸は、今はもうありません。
というか、あの文を書いていた時点で既になかったような…。
手元に物品税証付の数十年前のものがありますが、新JIS付の新しいものを持っていないので、新しいのが欲しかったんですけどね(×ω×)
ダイドーから受け継いだブランドも、少しずつ絞っているようで、確実に規模は縮小しているようです。
大和産業
![](https://sikkenozakki.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_3826-1024x683.jpg)
大和産業は、かなり変わった印象です。
軸木の輸入先を変えたのでしょうか、日東社と同じような軸木になりました。
伴って節や茶っぽい軸木が減り、白っぽく軽いものになっています。
若干ですが、頭薬も変わったように見えます。
色味に橙が若干足されたような感じ。
これも、軸木同様日東社と似た感じになりました。
相変わらずのJISマーク付きで、自社製造は変わっていないはずなんですが。
中外燐寸
![](https://sikkenozakki.com/wp-content/uploads/2024/03/IMG_3828-1024x328.jpg)
中外燐寸は、中身は変わっていないように思いますが、裏面の説明書きがちびちびと削られて行っていますね。
最低入本数の表記がなくなり、特許番号の表記がなくなり…。
(JIS準拠は変わっていないので、最低入本数37本に変わりはありませんが)
特許は遠い昔に期限が切れているので、削られて当然と言えば当然です。
硫黄を完全除去した繊維素グリコールの代用による頭薬製造は、最もアピールされたいところだったのだとは思いますが…。
中外燐寸製の特筆すべきところは、非常に発火しやすいというところです。
他社製品よりも、軽く擦っただけで発火させられる印象があります。
その他メーカー
神戸燐寸、第一燐寸工業、当矢燐寸、八家化学工業、白東燐寸、東亜等、他にも販売元になっている会社は多数あります。
しかしあくまで販売であって、製造はどこも委託になっています。
もう、中身はほとんど日東社ですねぇ。(シェア7割超という2)
恐ろしいほどの寡占産業になってしまっています。
カメラ業界も、何十年か後にはこんな状態になってしまうのでしょうかねぇ…。
燐寸について
燐寸を題材にして書きたいことがいくらかあるので、これからも複数燐寸について投稿したいと思います。
とりあえず、明日は日東社の現行燐寸(兼松日産農林・兼松サステックから引き継いだもの)のうち3種、桃印・燕印・象印の標本調査(もどき)について書いていきますかね(´・ω・`)
我ながら馬鹿げた調査ですが、まぁまとめておこうというところです。
では、次回へ続く。
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